自分の体の現在地を知ろう!!!

健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることをいいます。(日本WHO協会訳)」

1948年に発効されたWHO憲章

理想の健康状態になるには、まず自分の現在地を知ること

ここでお話しする「現在地」とは今の自身の体の状態のこと。今、自分の体がどのような状態にあるのか、というところを自身で認識することはとても重要です。

現在地を知るということに対して、健康診断は一つの指標です。毎年の健康診断の結果を見て1年間の体への向き合い方を見直してみることも大切です。

何となく自身の体のことは自分がよくわかっていると思っている人が多いと思います。

しかし、一度自分の体について紙に書き出してみましょう。

例えば、たまに頭痛がある、慢性的に肩こりがある、寝つきが悪いなど何でもOKです。まずは、今感じている体の状態を一度書き出してみましょう。

少しでも日常を振り返って自分自信と向き合ってみると、意外と思い込みがあったり、思わぬ気づきがあったりすることがあると思います。そうやって少しでも自分自身を認識することで、これからの健康のために行なっていく一つ一つの行動が、今までよりも、より効果的になっていきます。

現在地を知るということは、ゴール(目標)設定がしやすくなり、ゴールまでの距離とそこに向かう方法がより詳細に、より個々に合った方法を見つけることができます。

現状ある程度問題なく生活が行えている場合は、この現在地の捉え方として、良し悪しでは捉える必要はないと考えています。今の現在地はただの今の現在地なだけなので、正しく今の現在地を捉え、そこからどうやってさらに良い状態へ向かっていくかの指標の一つに過ぎません。

今後、より自分の理想的な健康状態へ辿り着くためには、今を知る、今の自分を知るということはまず第一歩となります。現状を知り、それから目標設定を行い、健康への目標に向けた取り組みをしっかりと段階つけて取り組んでいきましょう。    

さて、これから皆さんは、現在の自分の状態を認識し、さらによりよい健康を目指して行動を起こしていこうと思っていることかと思います。ですがなかなか行動に移せない、継続ができないというようなことが起こる人もいるかと思います。今後皆さんが行動を起こしていく中で、以下のような心理作用が働きやすいということを知っておきましょう。

【行動を阻害する3つのバイアス】

バイアスとは、物事や情報を判断する際に、無意識のうちに偏った見方や誤った判断をしてしまう傾向や癖のことです。例えば、先入観や感情、過去の経験が影響して、客観的ではなく主観的な判断をしてしまう場合がバイアスがかかっていると言えます。

●現状維持バイアス

現状維持バイアスとは、未知のものや変化を受け入れられず、今のままでありたいと望む心理作用のこと。

例えば、いつも同じ店に行き、同じ席に座り、同じメニューを注文する行動は、慣れ親しんだものを選ぶ心理や、変化による損失を回避したいという心理が働きます。また、健康的な生活習慣を取り入れようと思っても、なかなか続かないというのは、変化に伴う努力や我慢を避け、現状維持を選んでしまうことがあります。

現状維持バイアスは、安定性や信頼性が重視される状況におけるリスク回避としては有用です。しかし、過度に現状維持バイアスが働いてしまうと努力や我慢によるストレスは良くないなどと都合の良い解釈に書き換えたり、成長を妨げることにもなります。バランスを取ることが重要です。

●現在バイアス

現在バイアスとは、直近得られる利益を、将来得られるより大きな利益よりも過大評価する傾向のこと。先延ばしをしたがる心理とも言われます。

例えば、『今1万円もらうのと、1年後に1万1千円をもらうのでは、どちらがいい?』との質問に、大半の人は『今1万円もらうこと』を選ぶそうです。銀行金利などで考えると実際には『1年後に1万1千円もらうこと』を選んだ方が得をするのです。未来を考えた時には自分にとって正しい選択ができるのに、その選択が目の前に迫ると間違った方を選んでしまうのも現在バイアスの要因となります。

現在バイアスが強い傾向の人は、本当に必要な事柄を後回しにしてしまいがちなため、掲げた目標を達成できずに失敗する可能性が高くなります。20年後の健康リスクが1億点だとしても、目の前の快楽100点に手を伸ばしてしまいます。

●楽観的バイアス

楽観的バイアスとは、何事も楽観的にみようとする傾向のこと。

 例えば、根拠もなく『そのうち良くなる』と考えてしまう傾向や、何か好ましくないことが起きていても、自分には関係ないこととみなす傾向にあります。

楽観バイアスは何よりも自己の精神的安定性を維持するメリットがありますが、問題のリスクを見落とす可能性があります。

【これらのバイアスの外し方】

①バイアスを認知する:バイアスは無意識に感じるため、意識的に今の自分は上のようなバイアスが働いていないかを自問自答する必要があります。定期的に現在の状況に固執せず、常に改善の余地を探っていくことが大切です。

②ファクトを共有しアドバイスをもらう:主観的な意見だけだと説得力に欠けます。現状を把握し、変化した場合のメリット・デメリットなどを誰かと共有しましょう。身近な人の意見だと反発も起きやすいので専門家などと進めていく方がおすすめです。

バイアスとは判断に大きな影響を与える要因の一つです。脳が何かを認知する際には、さまざまな環境要因や状況の影響を受け、その中にはバイアスも含まれています。まずはこういうバイアスがあるなというのを知ってもらえたらと思います。

理学療法士 中山郁美 【公式サイト】ヘルスケアデザインI(アイ) https://ikustyle.com

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